No.118 世界遺産の近くで暮らすということ

交差点の歩道を歩く鹿たち 世界遺産と生きる
奈良では、朝よく見かける風景。道路を普通に歩いています。

奈良で暮らしていると、
世界遺産は「特別な場所」である前に、日常の風景の中にあります。

朝、鹿が歩く道。
東大寺へ続く石畳。
春日若宮おん祭りの日には、子どもたちが学校から早く帰ってきます。

世界遺産という言葉を意識するより前から、
奈良の人たちは、その風景の中で暮らしてきたのかもしれません。


世界遺産は、観光地だけではない

奈良公園や東大寺には、世界中から観光客が訪れます。

けれど地元の人にとっては、
そこは「日常の町」でもあります。

子どもの頃の日曜日、
奈良公園では同級生たちと野球をしていました。

今では考えられないかもしれませんが、
当時はそれくらい観光客も少なく、
世界遺産はもっと生活の近くにありました。

興福寺の中金堂の近くでボールを追いかけ、
監視員さんに怒られては逃げ、
また戻って遊んでいたことを思い出します。

奈良の石畳を歩く鹿たちの朝の風景

奈良では、鹿もまた日常の風景の一部です。


平城宮跡は、広い遊び場だった

今の平城宮跡は、整備された歴史公園として知られています。

けれど昔は、
広く草が生えた空き地のような場所でした。

真ん中を近鉄電車が走り、
子どもたちは野球やサッカーをして遊んでいました。

世界遺産というより、
近所の広場に近かったのかもしれません。

世界遺産の真ん中を近鉄電車が走る。

今では世界遺産となった平城宮跡も、かつては子どもたちの遊び場でした。


春日野プールと夏の奈良

東大寺の近くには、春日野プールもありました。

夏になると、奈良市民の定番の場所で、
プール帰りに甘い生姜湯を飲んだ記憶があります。

世界遺産のすぐ近くで、
子どもたちは普通に遊び、夏を過ごしていました。

今振り返ると、とても贅沢な時間だったのかもしれません。

奈良の町には、観光だけではない暮らしの時間が流れていました。


奈良の町に残る、もうひとつの歴史

奈良には、寺院や鹿だけではありません。

赤童子祭り。
鼓阪小学校。
古い商店街。
そして、東大寺の北に残る赤レンガの奈良監獄。

観光パンフレットには大きく載らなくても、
そこには確かに、奈良の時間が積み重なっています。


まとめ

世界遺産とは、建物だけを指す言葉ではないのかもしれません。

その場所で暮らし、
遊び、
祭りを受け継ぎ、
時間を重ねてきた人々がいて、
初めて町の風景になります。

奈良で暮らしていると、
そんなことを時々感じます。


小鹿のひとこと 🦌

「世界遺産って、遠くへ見に行くものだと思っていたけど、
奈良では、いつもの景色の中にあったんだね。」


👉 あわせて読みたい
No.114 世界遺産の町に暮らすということ
No.115 世界遺産の隣で、子どもの声が消えていく
No.116 春日若宮おん祭りと赤童子祭り
No.117 奈良の朝と鹿の日常


コメント