No.52 世界遺産はどうやって決まる?

世界遺産解説
――ユネスコ登録基準10項目をわかりやすく解説――

今朝、庭に来た小鹿が、少し首をかしげていました。

「世界遺産って、どうやって決まるん?」

これまで50以上の世界遺産を巡ってきました。
でも確かに、「なぜ登録されたのか」をきちんと説明していませんでした。

世界遺産は、なんとなく“すごいから”登録されるわけではありません。
ユネスコには明確な**登録基準(criteria)**があります。


■ 世界遺産には3つの種類がある

まず大前提として、世界遺産は次の3種類に分かれます。

  • 文化遺産
  • 自然遺産
  • 複合遺産

そして、登録の可否は10の基準によって判断されます。


🌏 文化遺産の登録基準(ⅰ〜ⅵ)

ⅰ 人類の創造的才能を示す傑作

例:法隆寺、タージマハル

ⅱ 文化の交流を示すもの

例:シルクロード関連遺産

ⅲ 現存する文明の証拠

例:アユタヤ、ペトラ

ⅳ 建築・都市計画の顕著な例

例:ローマ歴史地区

ⅴ 伝統的集落や土地利用の代表例

例:白川郷

ⅵ 重要な思想や宗教との関連

例:ルンビニ


🌊 自然遺産の登録基準(ⅶ〜ⅹ)

ⅶ 卓越した自然美

例:ハロン湾、グランドキャニオン

ⅷ 地球の歴史を示す地質学的証拠

例:イエローストーン

ⅸ 生態系の進化の過程

例:ガラパゴス諸島

ⅹ 生物多様性の重要地域

例:グレートバリアリーフ


■ 登録は簡単ではない

申請 → 専門機関の調査 → 世界遺産委員会で審議
という長いプロセスを経ます。

さらに登録後も、

  • 保存状況の報告
  • 保護計画の提出
  • 危機遺産指定の可能性

が常に伴います。

つまり、世界遺産は“ゴール”ではなく、
守り続ける約束なのです。


■ なぜ基準を知ることが大切か

これまで巡った場所も、

法隆寺は基準ⅰ・ⅱ
ルンビニは基準ⅲ・ⅵ
ハロン湾は基準ⅶ・ⅷ

それぞれ、理由がありました。

ただ美しいからではない。
ただ古いからでもない。

「人類共通の価値」が認められたからです。

庭の小鹿が言いました。

「ちゃんと理由あるんやな。」

そう。
世界遺産は感動だけでなく、論理でも守られているのです。

しかし、登録基準を満たしていても、
保存状況が悪化すれば「危機遺産」に指定されることがあります。
危機遺産制度や登録取り消しの実例については、
世界遺産は永遠ではないをご覧ください。


次回

登録されても守れなかった例。
危機遺産のその後を見ていきます。

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